熊坂仁美のNYレポート ①ソーシャルパワーと米企業

11月4日、ニューヨーク・タイムズセンターで行われた

Mashable Media Summit”に参加してきた。

主催は、ソーシャルメディア系ブログMashable.com

今を代表するネットメディアの一つだ。

 

NYは、メディア企業が多い街だ。

街を歩いていると、テレビ局、新聞社、雑誌社を簡単に見つけることができる。

 

そういったメディア各社が今、注目しているのが「デジタル化」である。

インターネット、ソーシャルメディア、タブレットやスマートフォンなどの最新デバイス。

こういった最新テクノロジーをどう活用していくか、一般企業以上に熱心なのである。

今回のイベントは、主にメディア企業担当者やジャーナリストを対象に、

「テクノロジー」「トレンド」「コンテンツ」「成功事例」などをテーマに各界からスピーカーを集め、

多角的な情報を提供した。

アジェンダを読むだけで、今何がホットなテーマなのかがわかっていただけると思う。

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ソーシャルメディアの未来:現状の全体像と2012年トレンド

・スポーツ・イラストレイテッド誌の進化:紙からデジタルへ

・触覚からモバイルへ:コンテンツエクスペリエンスとエンゲージメント再発明

・テレビはあなたを賢くする:テクノロジーがエンターテイメントをどう変えるのか(良くも悪くも)

・
あなたのアイデンティティを所有するのは誰か

・ライク・ア・バージン:究極のユーザーエクスペリエンス

・予測の問題点:リアルタイムデータはあなたのとるべき行動をどう変えるか

・「すばらしい」であり続けること

・テックワンオンワン

・コンテンツとコマースの新しいモデル

・ソーシャルTVの未来

・Facebookの新しい機能がジャーナリズムに意味するもの

・ソーシャルネットワークのコンテンツの壁を破る

・ソーシャルメディアの成長:ニュース組織にとってのソーシャルメディアの役割

・フィルターバブル:コンテンツキュレーションをどう行うか

印象的だったのは、「スポーツ・イラストレイテッド誌」そして「TVガイド誌」の先進的な取り組み。

特にTVガイド誌は、テレビ番組の情報誌にもかかわらず、テクノロジーの取り入れ方がすごい。

努力のかいあって、このテレビ離れのご時世にあって、読者数を右肩上がりに伸ばしている。

「読者の要求によって、私たちはどんどん賢くならざるを得なかった」と題されたこのスライドに注目。

ソーシャルやモバイルアプリ、チェックインなど最新トレンドを取り入れたタイミングと読者の伸びが一致しているのがよくわかる。

最近では、あこがれの人が好きな番組もチェックできる「ウォッチリスト」というサービスも開始。

また、スポーツ・イラストレイテッド誌も、かなり以前からiPadやiPhoneのアプリ化に取り組み、成功している。

「紙からデジタルへ」の取り組みは、

単にWebページを作ることではもちろんない。

 

TVガイド誌のジェネラル・マネージャー、Christy Tanner氏の話の中に、

「セカンドスクリーン」という言葉が盛んに出ていた。

今の視聴者は、ずっと集中してテレビを見ている人よりも、セカンドスクリーン、

つまり携帯やiPadなどをいじりながらの「ながら視聴者」のほうが圧倒的に多いというのだ。

そこで重要になってくるのがアプリ。

視聴者はテレビを見ながら、iPhoneのアプリで何かしらのアクションをする。

アプリを使うことによって、テレビとネットが連携し、

テレビにはない「ソーシャルパワー」を活かすことができるのである。

これによって、オールドメディアとニューメディアは相反するものではなく、

むしろシナジー効果を生むことになるのだ。

 

既成概念にとらわれず、ユーザーの行動や考えをビジネスにどんどん取り入れていく、という姿勢は、

メディア企業ならずとも、一般企業でも学ぶべきところが多いと感じた。