大前研一氏動画「原発事故で今起こっている問題」

今回の原発事故について、
原子力発電の専門知識を持つ大前研一氏の見識は卓越している。

今日本で、政治経済、国際問題の見識を持ちつつ原発のことを語れる
唯一の人だと思う。

氏の講演を録画したYouTubeはどれも必見。

地震から9日目となった3月19日に行われた講演では、
今日本に降りかかっている深刻な問題について、
今後どうなるかも含めて語っている。

東北の復興問題、今後原子炉に起こりうる問題、首都圏の計画停電問題など、多岐にわたり、1時間15分と長いので、
一部を要約してみた。
(動画中に出てくるPPTと、聞き取りでまとめたもの)

<原発に関して、今日本に起こっている問題>

1,東電の機能不全
 ・トップに原子力の専門家がいない
   →謝ることはできても、原子力の説明ができない
 ・メーカーを「出入り業者」とする体質
   →一緒になってやりましょう、ではなく「おまえら何とかしろ」というスタンス
 ・現場まかせの体質

2,政府の司令塔不在(日本には今「司令塔」がない)
 ・経産省は原発推進の役割なので、非常事態組織を持っていない。
 ・保安院は、天下りのお飾り組織で専門知識がない。
   →記者会見で発表している人はつい最近まで特許庁にいた人
    戦時下いえば戦闘経験のない、武闘経験のない人
    これが日本の今の「お目付役」。どうかしている。
   →保安院が「レベル5」の発表をした。これは世界の恥である。
    原子力保安委員がレベル5と言っている。これは世界の恥。
    世界では7だと言われている。グレードとは「人への影響」。
    スリーマイル炉心溶融という意味では深刻だったが
    放射線は出ていない。
 ・その東電内(一企業)に司令塔を置くという政府の非常識さ
 ・長期展望の欠如
   →このあとどうなる?を誰も言わない。それが一番大事なのに。
 ・対外(国際)コミュニケーション機能不在
   →CNN、BBCが「現場からお伝えします」と代行してがんがん伝えている。

3,NHKなどのマスコミでの解説者と学者の解説
  →たぶん原子炉見たこともない学者が意見している。
    理論にはやたら詳しいが、現場のことは政府発表と同じで空疎

4,国民の不安と不信の増大
  →心理の萎縮から経済低迷へ(大きな問題)


CNNやBBCは日本の報道を頼らず、現場から世界に向けて現状の発信を行っている。(写真はCNNのブログから)

 

大前氏は東電を「無能」、「芯から腐っている」と言い切る。
「東電が嘘ついているのは間違いなく、それを官邸が鵜呑みにしている」

そしてアメリカが滞在米人に対し50マイル避難を敢行した理由について、
「『たかだか一企業に振り回され、日本政府は国民を守ることすらしていない。だから我々は我々のデータで日本にいる国民を守らせてもらう』という論理からだ」と語った。

世界からは、
日本はこんな時でも秩序正しい国、という絶賛と、
現場で命がけで戦っている人々への尊敬、
大量の犠牲者を出した未曾有の災害への同情もある反面、

この国際的大問題を日本政府はハンドルできないと見切られた。

特にあの、自衛隊のヘリからの水散布に関しては、
「蝉の小便」のような非科学的、
かつ場当たり的な施策として、
それを強行した政府への不信を募らせる結果となった。
(あんなことを命がけでさせられた自衛隊の方は本当に気の毒だ)

核問題は、各国我が身に降りかかる問題であるだけに、
下手な施策や、ましてや隠蔽などは到底許されない。

そこで大前氏の提案、

「各国の原発エキスパートを集結させ、チームとしての統一見解を国際的に発表していく」という考えに大賛成だ。

国際的大問題となった今回の事故における日本の威信を回復させるためにも、

大前研一氏にそのリーダーとなっていただだきたいものである。