心に届くアグレッシブな企業プロモーション〜SXSWレポート Vol.3

数え切れないほどの会社、商品、サービスが集まるサウスバイでは、「地味なもの」「主張しないもの」は存在しないのと同じ。

いかに人の目をひき、関心を集め、製品の名前を覚えてもらうか。アプリをダウンロードしてもらうか。

アーリーアダプターも一般ユーザーも、すべての人が「何か面白いものない?」と目をきょろきょろさせているサウスバイでは、プロモーション効果は一般のイベントよりかなり高いはずだ。

イベントでのプロモーションに関しては、さすがに洗練されている企業が多く、

うまい!そうか!と思うことしきりで、製品の面白さよりプレゼン力の面白さに感心したりする。

すごいのは、イベント会場の中だけでなく、街全体をうまく使ってアピールしていくこと。このガッツは、日本人にはなかなか真似できないかもしれない。

一言で言えば「アグレッシブ」なのだ。

たくさん見た中で、面白かったプロモーションをいくつか紹介したい。

●キャラクターを表現しまくるHootSuite

会場近くを歩いていたら、どこかで見たようなキャラクターのバスが。

そう、ソーシャルメディア投稿アプリHootsuite(フートスイート)である。

私もTwitterの投稿に2年来愛用しているアプリだ。

このキャラクターバスで何をしているかというと、人の集まるところに止まって、ひたすらふくろうグッズを配りまくっている。

私が遭遇した時にはバスの入り口でスタッフが「キャッチして!」と言いながらトランプを周りに投げていた。

他の人がステッカーを持っていたので、「ステッカーもっとない?」と聞いたら、

「たくさん持ってっていいよ。日本の人に宣伝してね」とドンと渡された。

●「走るパーティ」で道行く人に印象づける

広告バスは街のあちこちで見かける。サウスバイらしいのは、バスのルーフで派手なパーティをしていることだ。

これは今年の夏ローンチ予定のCan we networkという、リンクトインベースのコネクションアプリ。

バスのルーフで音をがんがん鳴らし、美女を含む大勢が踊りながら道行く人に手を振ったり、逆に道行く人から声をかけられて、オースティンの繁華街をゆっくり走る。文字通り「走るパーティ」だ。

これはかなり効果的。人は楽しそうなものに自然に目が行く生き物だからだ。

●メイクセンスな目立ち方

さて、屋台村に置かれたこの車。どこかで見たことがある。

そう、 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 に出てきたタイムマシンの車「デロリアン」である。

なぜこの車が?

実はこれ、「タイムマシン写真シェアリング」アプリ「Glmps」のプロモーション。

このアプリは、起動させて写真を撮ろうとすると、その瞬間から動画が自動的に撮影を始める。

シャッターを切ると動画は止まる。

そして、写真と、その写真を撮る前7秒間の動画が一つのコンテンツとなり、Instagramのようにユーザー同士でライクをしあったり、ソーシャルメディアにシェアしたりできる。

「写真を撮る前に戻る」=タイムマシン、というわけで、このデロリアンの登場というわけだ。

やや無理矢理な感はあるが、このように「ただ単に目立つ」だけではなく、ちゃんと「メイクセンス(意味がある)」な目立ち方をするところがさすがである。

●どこでもプレゼンのスタートアップ

Pixableは、Facebookの友達の投稿をPinterestライクに表示できる写真シェアリングサービス。

予算の関係なのか締め切ってしまったのか、今回、サウスバイの会場の中にブースは持たず、そのかわり街中で道行く人相手にプレゼンをしていた。

白いバンに小さなプロジェクターでPixableの画面を映す。サウスバイのハッシュタグの画面だ。

ただそれだけのものだが、人が遊んでいる夜の時間に若い女の子たちがひたすら路上プレゼンをする。その姿にガッツと、起業家精神を強く感じた。

プロモーションとは、人の心にリーチすること。実にシンプルなことなのだ。

そして人の心に届くやり方は自由。枠はない。なんでもありなのだ。

こういうのを生きたプロモーションというのだろう。

そして何より、”Have Fun !” (楽しもう)の精神があるので、宣伝だけど嫌らしくない。提供する側も、される側も楽しい、というのが最大のポイントだ。

やはりアメリカはプロモーションに関して、一枚も二枚も上手。

人の心をとらえることに関して彼らから学ぶことは、まだまだ多い。