fMC Tokyo(Facebookのイベント)に参加して

Facebookのイベント「fMC Tokyo  2012」に参加した。

アジアパシフィック地区ビジネスマーケティングヘッドMeg Sloan氏と。私的には彼女の話が一番面白かった。

 

fMC Tokyoとは、2月に行われた「fMC NewYork」のサテライト版である。f8(エフエイト)において開発者向けに技術的な情報を提供してきたFacebookが、今後fMCでビジネスユーザー向けにも情報提供していく。

fMCのサテライト版が開催されたのは、世界で日本が初めてとのこと。ニューヨークの次が東京なのだ。これには少しびっくりした。

日本はユーザー数でいえば世界で25番目(Socialbakers.com調べ)で、Facebookのユーザーの人口比はわずか6%。
月間利用者数が1000万人に達したとはいえ、まだまだFacebookが浸透しているとはいえない日本だが、Facebookにとって成長性が見込める魅力あるマーケットということらしい。

 

私はfMC Tokyoの前日まで、オースティンで行われたソーシャルメディアとスタートアップの祭典「SXSW(サウスバイサウスエスト)」に参加していた。そこで感じたのは、ソーシャルメディアにおけるFacebookの役割の大きさだ。

たくさんの人と情報が集まるこのイベントでは、ソーシャル系アプリは生命線になる。参加者はみな、Twitter、Foursquareなどのスタンダードなものから出来たてほやほやの新しいものまで、スマフォにたくさんのソーシャル系アプリを入れている。アプリで参加者同士がつながり、位置情報を知らせ、会話をし、知りたい情報をリアルタイムに得ることができる。

私も現地で新たなアプリを10個以上入れたが、それらアプリのほとんどはFacebookでログインし、Facebookのプロフィールが使われるように設計されている。Facebookはすでに、世界の個人情報データベースであり、インフラとなっているのだ。

世界のソーシャルメディア、そしてインターネットを牽引するFacebook。その世界観は、これまで私たちが持っていた常識とはかなり違っている。

「Facebookはパーティのようなものです」(アジアパシフィック地区VP Erik Johnson氏)

「これまでのマーケティングがボーリングだとしたら、Facebookはピンボール。(口コミが)いろんなところに跳ね返る」(Facebook広告チームエンジニアMark Rabkin氏)

「Facebookは、直近の売上を上げるためではなく、ファンを作るために使ってほしい」(Facebook日本法人代表 児玉太郎氏)

「多くのマーケティング担当者や広報担当者はFacebookについて誤解しています。既存のメディアの手法を適用しようとしています。でもそれだとうまくいきません」(アジアパシフィック地区ビジネスマーケティングヘッドMeg Sloan氏) 

 

fMCの9人のスピーカーの話から、Facebookワールドのルールに関して、3つのキーワードを抽出してみた。

◆つながること

Facebookではまずは「つながる」ことがスタートだ。人と人、人とブランド。つながりは、人でもブランドでも、量ではなく質。見せかけ(ギミック)では意味がない。それには個人もブランドも「アイデンティティ~自分は誰なのか」を明確にしておくことが必要。

◆ストーリーを語ること

今回は、ほとんどのスピーカーから「ストーリーを語る」という言葉を聞いた。

「世界で一番効果的なマーケティングはストーリーです」(Erik Johnson氏)

しかし「ストーリー」という言葉は日本人にはいまひとつピンとこない。そこでFacebookの最初の広告を作ったという広告チームのエンジニアMark Rabkin氏にパーティで「ストーリーって何?」と聞いてみた。

「たとえば、バーバリーが新作ファッションの写真をタイムラインに投稿する。これもストーリーを語るということなんです。ファンが知りたいことだし、楽しい。ストーリーはそのブランドを表すことです。表現方法は写真や動画、リンクなど、いろんな形があります。ただし、誰も同じストーリーを二度聞きたくない。常に新しいストーリーを語らなくてはなりません」(Mark Rabkin氏)

せっかく投稿したストーリー。その反応を上げるためには、だらだら文章を書かず簡潔にまとめるのがコツ。具体的には200文字(3行以内)にすると、それ以上の文字数より60%いいね!が増える。投稿頻度は1日1回程度。

反応を取る上でさらに重要なのは、「関連性」だ。人は、「自分と関係ない」と思うとスルーする。自分と人、自分とブランドを「自分との関係性」で見ているからだ。

たとえば、FacebookのFBページにおける反応の例。

写真左が「ビデオチャットを開始しました」という投稿。これは話題にしている人が59000人と高い反応を得た。一方、右の投稿は「米軍(ミリタリー)では家族や大事な人とメッセージでやりとりをしている」という投稿。これはわずか3700人。この違いは何かというと、「自分と関係があるかどうか」。ほとんどの人は、米軍の話題は自分と関係がない、と思ったのだ。

ストーリーは、ユーザーとの関連性があり、なおかつ面白いコンテンツであること。

そしてもちろん「人間関係」も関連性の一つとなる。

◆人間関係を作ること

Facebookにおいては、個人も企業もアプローチは全く同じで、人間関係を作ることが大事だ。

では関係を作るにはどうしたらいいのか?

Meg Sloan氏はFLI(エフエルアイ)を紹介してくれた。FLIとは、Frequent Lightweight Interaction(頻繁かつ軽量なインタラクション)

関係は、軽いやりとりを通じて時間をかけて構築される。パーティのように、ちょっとした会話をたくさんの人とするイメージ。それを継続することによってファンとの関係が築かれていく。

そして「会話の一部になること」。一方的なマーケティングメッセージでは人の口の端にはのらない。「人がなぜ話すか」、その目的を理解し、会話の中に入るような話題を提供し、口コミされること。

そういう意味でブランドのライバルは、「(ユーザーの)友達」なのである。ユーザーの関心事のほとんどは友達の近況や友達との交流。友達同士の会話に割り込むだけの魅力がなければ、ニュースフィードにのらないからだ。

 

ボーリングからピンボールへ。ゲームは変わった。これまでのルールはもう通用しない。

Facebookをビジネスに使うのなら、これまでのやり方を捨て、Facebookワールドのルールを覚えることが結局は近道なのだと改めて感じた。