動画コンテンツの難しさと可能性〜Dreamforce2013の取材を終えて

これから間違いなく動画の時代が来る。
そう確信し、私はここ半年ほど、集中的に動画やYouTubeの研究をしています。

今回サンフランシスコでお会いした方は、外国人も日本人も口々に同じことを言っていましたし、
あるWebコンサルタントの方は、「静止画はすべて動画に置き換えられるだろう」とまで言っていて、改めてコンテンツとしての動画のポテンシャルを実感しました。

今回セールスフォース・ドットコム社からDreamforce取材にお誘いを受けたとき、
「ぜひビデオブログをやらせてください」という提案をしたのは、実は私のほうからです。

初めての動画取材という自分自身への挑戦もありましたが、
海外のカンファレンスを日本に伝えるときにいつも感じている、
「海の向こうの関係ない出来事」という冷めた反応に対しての挑戦でもありました。

視聴に時間がかかり「流し見」がしにくい動画は、写真やテキストコンテンツより再生してもらうハードルは高いですが、
見てさえもらえれば、写真や文章では絶対に伝わらない現地の空気や雰囲気、動画ならではのメッセージを伝えることができます。

Dreamforceという桁外れなイベントの雰囲気を少しでも伝えるというミッションを持ち、
プロ仕様のビデオカメラを新調までして現地に乗り込みました。

DSC00532

走り回った6日間は濃厚で、感じたこと、得たこと、反省したことがたくさんありました。
これから動画コンテンツで個人あるいは自社のメッセージを伝えていきたい方、
ビデオブログに関心のある方のために、重要だと思ったことをシェアしたいと思います。

1、動画コンテンツはまだまだ「労多く」の世界である。
動画の将来性がすごいのは冒頭に書いたとおり。でも、2013年の今この時点では、「動画市場はまだまだこれから」というのが正直な感想です。
スマホから撮って出しなら別ですが、本格的にやるとなると機材をかかえて一日動画を撮りまくり、
夜にはたまったデータの整理をし、すぐに編集作業。
素材が多いだけに扱いが大変で、4分ほどのものを1本作るのに気づけば4時間経過、就寝は午前3時、なんてことも。

そうやって苦労して作った動画をソーシャル上でシェアしても、クリック率は想定よりも低く、いつものビデオブログの8割程度にしかなりません。
これが同じ海外取材でも、グルメや音楽など一般的なテーマなら別なのかもしれませんが、ビジネス系、しかもクラウドといういわばマニアックな世界なので、「難しくてわからん」「興味なし」とスルーされてしまうのだと思います。

動画のサムネイルやタイトルにあまり気が回らず「つまらなそう」と思われたのも失敗でした。
たとえば、5本のうち一番ビューが伸びなかったのがこのサムネイルの動画です。

新規プロジェクト 11

映っているのはセールスフォース社のマーク・ベニオフ氏とドロップボックスのドリー・ハウストン氏で、現地では話題だったのですが、
たしかに一般的に有名な人でななく、「この人たち誰?」ですよね。
動画をクリックしてもらうには、キャッチーなサムネイルは必須です。でもそれを作るのも結構な手間。
だから、不本意ながらも手間がかからずそこそこ反応が出る「自分の顔の大写し」をサムネイルにしていました。

でも、うれしかったのはそれでも届く人には届いたということ。しっかり評価してくれる人も少なからずいました。

以下、Facebookにシェアした動画の感想コメントの一部を転載させていただきます。

☆映像にすると伝わる内容が倍増というより一桁増える感じ。会場の臨場感や街の空気まで感じることが出来ました。流石です。(木崎 洋さん)
☆素晴らしい!絶妙な尺と、整理しハイライトされた情報!そして、なによりもリズムのいい熊坂さんのコメント等々、とっても刺激になります。(渡辺裕二さん)
☆わっ、とっても素晴らしい動画レポートです!!!ホントにわかりやすく適度な時間にまとめれててすごいです~!!!そして最後のお疲れ様でしたワインがなんだかホッとしますね!(Tateokaさん)
☆すごく臨場感あふれる映像ですね!(佐藤 健一さん)
こういう声は本当に励みになりました。ありがとうございます(涙)

2,本数は多ければいいというものではない。
今回の予定では動画は3本だけのつもりでしたが、やっているうちに全部まとめたくなって結果的に5本も作ってしまいました。
だけど、同じテーマで5本も作るのは、単に作り手の自己満足。受け手にとっては「また?もう飽きたよ」となってしまうらしく、反応率はどんどん下がっていきました。
ビデオブロガーはクリエイターであると同時にマーケターでなくてはならないことをすっかり忘れ、視聴者を置き去りにして制作に没頭してしまったのです。動画って作り始めると職人になってしまうんですよね。手前味噌ですが、どんどん出来はよくなっています。でも、それもクリックされなければ意味がありません。

スクリーンショット 2013-11-27 9.07.58

よほどの理由がない限り、一つのイベントに対しての動画はせいぜい2本までが受け入れられる限度だというのが、今回私が体感した数値です。
思い切って膨大なデータを捨て、「究極までまとめる」というキュレーションというか断捨離というか、そういうセンスが必要になります。

3,動画ができたらまずブログに貼る、が鉄則。
動画ができると、すぐにみんなに見てもらいたくてYouTube動画をそのままシェアしてしまいますが、リーチの点から見るとこれは得策ではありません。
一番良いやり方は、動画を見ない人のために(というか、動画を見ない人のほうがはるかに多い)、動画の内容を写真を入れながらテキスト化し、そこに動画を貼って、ブログ記事としてシェアをする。こうすれば、動画にそのブログ記事のURLを貼れますから、ブログと動画のリンケージができます。

・・・と、十分わかっていいたのですが、ついつい動画を先にシェアしてしまって、後からブログを書いてしまいました。そうなると、「同じことを何度も投稿している」というイメージしか残らず、ますます関心が下がってしまった感じでした。反省です。

まだまだ、動画発信や取材に関してはTipsがたくさんあるのですが、かなり技術的なマニアックな話になってしまうので、それはまた別の機会に。

ビデオブブロガーは従来の「ブロガー」でもない「動画制作業者」でもない、これまでになかった新しい領域の発信者です。
さらにカンファレンスやイベントの取材系のビデオブログを作っている人は、世界でもまだほとんどいません。
こういったコンテンツは昔からテレビレポーターでおなじみなわけですが、今までテレビ制作会社がプロのチームでやっていたことを、素人がたった一人でやれる時代が来たのです。

そういう意味で、たとえビューは上がらなくても、「リッチなコンテンツを作っている」という達成感はすごくありました。

映像に自分の感想を加えながら、見たこと、感じたことを伝える。
単純だけど奥が深く、潜在ニーズがあるこの領域を、
これからどんどん、切り開いていこうと決意を新たにしました。

最後になりましたが、私に新しいチャレンジのチャンスを与えてくれたセールスフォース・ドットコム社のマーケティング担当小谷敦子さん、
そしてもちろん、セールスフォース・ドットコム社に心からお礼を言いたいと思います。

同社は3年連続で米Forbes誌「World’s Most Innovative Company」(世界で最も革新的な企業) の第1位になっていますが、それは大いに納得です。

※Yahoo!個人にDreamforce成功の秘密について書きました。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kumasakahitomi/20131126-00030129

DSC00524
現地にて、参加者の方と。左が小谷さん。

→Dreamforce2013、最後のまとめ動画レポートをぜひ、ご覧ください。(再生リストになっているので、ここで5本すべてご覧になれます)