最近、「豊かさ」の基準が多様化してきたと思う

いま福島に移住した3人の方のストーリーを、動画と小冊子にするプロジェクトを行っています。

3人の方それぞれの生き方と選択のお話は明快で興味深かったです。

今日はその取材で気づいたことを書こうと思うのですが、その前に言いたいこと。

最近、「移住定住」に国が力を入れていることもあり、あちこちでそのキーワードを聞きますが、

「移住」という言葉ってちょっとどうなんだろうと。

なんか大げさというか、重すぎませんか。

英語にすると「Immigration(イミグレーション)」で、どちらかというと国外に移民するイメージ。

狭い日本の中で、たとえ北海道から沖縄に移ったとしても、帰るのにパスポートは要らないわけで。

かといって「引っ越し」ではやや軽すぎる気もするし、何かうまい言葉がないでしょうか。

私は英語で引っ越しを意味する「Move(ムーブ)」を日本語にしてしまったらどうかと思っています。

「2年前、東京から福島にムーブした熊坂さん」

とか、どうですかね。前向きな感じでいいと思うのですが、センスないかな。

(そういえば車の名前にありましたね)

さて、本題。3人の話を聞いて感じたことについて。

今回、取材させていただいたのは、

◇新潟に近い「西会津町」に上海からUターン、築360年の古民家に住みながらクリエイティブな地域活性化活動をしている矢部佳宏さん。

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◇福島県のちょうど真ん中、里山が広がる「田村市滝根町」にIターンして農業で起業した江戸っ子の稲福由梨さん。

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◇来春の住民帰還に動き出している「南相馬市小高区」をあえて仕事場に選んだ「IT&ゲーム系」男子、森山貴士さん。

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ひとことで福島と言っても北海道と岩手に次いで3番目に広い県なので、3人とも全く異なる環境なのですが、

それぞれの場所で話を伺ってみて感じたのは、

「<豊かさ>が多様化してきた」ということでした。

生活の場所や仕事を変える理由は、自分にとって「よりよい生活」を求めてのこと。

言い換えれば移住とは「より豊かに」「よりHAPPYに」「より面白く」を追求した結果であるわけです。

そうなると、その決断からは、「その人が何を豊かと思っているか」がわかります。

かつて豊かさは「お金」を意味していました。

豊かとは、いい家に住んで、いい車に乗って、ブランドものを身につけて、

あるいは美味しいレストランに行ったり、年に何回も海外旅行に行くこと、と思っている人が多かったと思います。

私は10代までを高度成長期、20代ではバブルを経験しているので、その価値観が染みついています。

(今はその価値観では生きていないのですが)

でも、今回取材した皆さんの「豊かさ」は本当にそれぞれでした。

矢部さんは、西会津の美しい景色に囲まれて、自分のアイデアを形にしていくことだったり。

稲福さんは、自分で栽培した採れたての野菜が食卓にあることだったり。

森山さんは、新しい町作りという貴重な場に関われることだったり。

ちなみに、私の場合、「家族と一緒に住み、山を眺めながら自宅で仕事をすること」が豊かだと思ってUターンしました。

私は東京が大好きで、東京生活の豊かさについてはよくわかっています。

素敵な人が集まるパーティや面白いイベント、オシャレなお店や美味しいもの、刺激がたくさんあります。

でも50歳を過ぎて、いろんな経験をして、人生の優先順位が変わったのです。

同じ人でも年代によって「豊かさ」が変わるんですよね。

最初の話に戻りますが、「移住」という、大げさな言葉を使うとどん引きしてしまう人もいると思います。

「今自分が求めている豊かさ」がいちばん実現できる場所に引っ越す、ぐらいの感じでいいんじゃないかなあと思っています。

「田舎にムーブ」

どんなもんでしょうか(笑)