昨年暮れに身体を壊し、顔面麻痺というやっかいな事態になってしまったこともあり、2ヶ月ほど外出をセーブしていた。
「不要不急」以外はずっと家にいて、家で仕事。外食もほとんどしない。面白そうなことがあるとたとえ海外でもさっと行ってしまう腰の軽さが身上だった自分とは思えないような生活ぶりだ。
外出をしないのは、よいことでもある。
一番よかったのは書く時間が増えたこと。私は細切れの時間でさっと書くのが苦手で、書くには集中力と時間が必要なタイプだ。だから外出が多いと、書きたい気持ちとは裏腹に全然アウトプットができなくなる。「ああ、今日も書けなかった」という日が続いていて、これはこれでストレスだった。
久々に書くことに向きあってみると、自分はどんなことを書いていきたいのか、ということがわかってきた。
これからは、テーマに限らず「ディープなこと」を書きたい。
たとえばワイン。
このテーマは広大で、銘柄の紹介から世界各地の産地について、醸造について、歴史について、マリアージュについて、もう、数限りなくネタはある。
どのネタを取り上げるにしても、フカボリしたい。フカボリすればするほどマニアックになるので、読者はついていけず逃げてしまうかもしれない。
以前はそれが怖くて、「わかりやすく、共感を得られるように」なんて考えていた。
でも、見えない相手に「阿る(おもねる)」のはナンセンスだ。
自分が面白いと思うもの、自分が読みたいと思うものを書いていくと決めた。たとえ仕事の執筆であってもそれは同じだ。
これは、『読みたいことを、書けばいい』の田中泰延さんから教わったことだ。迷った時に呪文のように「読みたいことを、書けばいい」と頭の中で唱えている。
つい最近、チリワインの「コノスル」さんのサイトに書いたエッセイもかなりマニアックだ。
【知れば知るほど面白いワインの世界 vol1】ワイン評論家ってどんな仕事?
字数制限は特にないとのことなので、9000字近く書いてしまった。
「広く浅く」から「狭く深く」へ。
モットーは「Deepen your Content(コンテンツを深めよう)」にした。
今は書くことが楽しくてしょうがない。
※画像は、イタリア・サルデーニャ島のワイナリー。昨年4月に訪れた。行きたいと思うとさっと行ってしまっていた頃だ。このワイナリーについて書きたかったけど、時間がなくて書けずじまいだった。あれからはや1年近く。まだ記憶があるうちに書こうと思う。