(画像は「久慈秋まつり」の山車。スケール半端なく、さらに造作のクオリティが高くてド迫力!こんなお祭りがあるの知らなかった。。。)

役立たずのカーナビの話から

先週末、2泊3日の出張で岩手県の久慈市、宮城県の気仙沼市を訪れた。両県とも私が住む福島県の地続きなので、東北をご存じない人はそう聞いてもきっと何も疑問に感じないと思う。

しかしこのあたりの距離感覚をよく知る人なら、「え?2泊3日で久慈と気仙沼行ったの?」となる。そう、東北は広い。そして岩手県は本州の面積ナンバーワンの縦長の県だ。縦断するように東北新幹線が通ってはいるが、沿線エリア以外は交通の便もかなり悪い。その岩手県の青森県寄りの久慈市から、宮城県の陸の孤島と言われる気仙沼市までは約200キロあるが、スケジュール上、それを午前中のうちに移動しなければならない。海沿いを走る三陸鉄道というロマンあふれるローカル線があるが、出張の移動には向かず、急ピッチで整備が進む三陸道路をレンタカーでひた走った。二人で行動していたが、コロナ対策で別々の車を使ったのでソロ運転だ。

東北新幹線で福島→二戸、そこからレンタカーで移動。東北内の移動はレイル&レンタカーがおすすめ。

ナビゲーターがいないのでカーナビに頼らざるを得ないのだが、まあほんとにカーナビってつくづくbulls**tだと思う。日々整備されてアップデートが激しい三陸道路に全く対応できておらず、そればかりかとんでもないところでここを曲がれとか降りろとか言うので、不案内な土地ではシャレにならず殺意さえ感じる。当然ながらアップデートが完璧なGoogleと併用になるのだが、ダッシュボードにスマホを置く場所がなく、助手席に置いてみたり足の間に置いてみたり、運転しながらだと使いにくい。一番いい場所を陣取るそこの無用の長物さん、ちょっとその場所空けてもらえない?とお願いしたかった。

すべての道は東京に通ず、だけど。

さて本題。実際に旅をしてみて感じるのは、「東北の中での移動」は難儀であること。外から見ると、同じ東北なのでみんな頻繁に移動しているように見えるかもしれないが、「すべての道は東京に向いている」と言えば大げさだけど、近くなのにすごく不便、というところがあちこちにあり、いざ隣の県に行こうとしても幹線道路からはずれる場合は大変なのだ。かくして、東北人なのに東北のことをよく知らない、ということが起きている。私自身もその典型で、恥ずかしながら岩手県を訪れたのはこれまで数回しかないし、気仙沼ですら初訪問なのだ。視線が完全に東京とか海外に向いていて、すぐ後ろのことを何も知らなかったということにやっと気づいた。まるで青い鳥の寓話だ。

結論から言うと、「すぐ後ろ」は素晴らしく、宝の山だった。そこに広がるのはNew World、キラキラFuture、新たな発見と可能性だらけで身震いするほどの体験だった。

久慈市小袖漁港にて、海岸でツブ貝を浜ゆでしている女性に味見をさせてもらった
あああ、柔らかい!大きい!美味しい!

クリエイティブな旅をしたい

少々の不便を乗り越えればこんな世界があるのに、今まで私はいったい何をしていたのだろうか。地方の時代、と言われて久しいけれど、私たち地方の人間がほかの地方のことをよくわかっていない。マイクロツーリズムという横文字など使わなくても、近隣の旅は極めて自然なことであり、逆に今までやっていなかったことが変なのだ。

断層が見える岩がゴロゴロ、三陸の特殊な地形が奥深い

旅を食に例えてみる。便利な交通網を使ってするお決まりのコースがコンビニ食だとしたら、今回旅したルートは地元食材で出汁から自分で取って作る手作り料理だ。

そろそろ脱・工業製品の時代、脱・大量輸送の時代にふさわしい旅をしたい。旅も料理同様、めちゃくちゃクリエイティブなのである。

三陸の海藻はamazing !久慈市内の居酒屋で食べた新物のワカメは生涯忘れられない味の一つになった。

ペットのようにフグをかわいがる海女さん。もぐらんぴあ水族館にて。